2014年12月12日
除隊2
前回の続きである。正式な除隊について。今回は規定の任期、つまり5年の任期を全うした場合について書きます。
その前に、前回の補足でもあり、蛇足でもあるけれども、怪我や病気などで「軍人不適格」の烙印を押された場合についてですが、実は色々とある。
勤務中、任務中の事故で怪我をした場合、それが後遺症として一生残る場合はフランス政府が責任もって保証してくれます。つまり怪我や身体障害のレベルによって毎月いくばくかのお金を支給してもらえます。コソボで半死半生となり除隊した1等兵はその後は一切仕事につかず、それでも毎月国からお金が出るので何不自由ない暮らしをしています。 アフガニスタンで味方の155mm榴弾砲の誤射を受け、一人だけ残して小隊全員が死亡した事故では、生き残ったポーランド人はやっぱり重度の身体障害者となったんで、ポーランドに帰国し、毎月フランス政府から十分すぎるほどのお金を得ています。死亡した他の隊員。家族に対し、ただしその本人がレクティフィカシオンをして実名で正規に雇用されている場合は家族に一時保証金がフランス政府から支払われます。ただしその家族と言うのが両親兄弟である場合は基本的にその一時金だけです。
もちろん生命保険は民間の会社から支払われます。妻帯者の場合、女房は死ぬまで戦死した旦那の基本給を毎月もらうことになります。一時金と派別にです。子供は優先的に学費補助などが得られますし、成人前に母親が死亡した場合は戦死した父親の基本給を成人するまで受けられます。その上各種軍の学校、下士官学校。士官学校などは優先割り当てがあります。
勤務外や任務外で怪我をした場合は、「お前馬鹿だなー」と笑われておしまいですから気をつけましょう。
5年で一任期ですが、その間のおおよそのタイムテーブルを標準的な例で示すと以下のようになります。
入隊後10ヶ月(連隊によっては1年)で2等兵から1等兵にまずよほどの問題がない限りは皆一律に昇進します。
入隊して2年から3年半までの間に標準的な兵隊は伍長課程に送られます。この伍長課程も3種類あって、カステルノダリーで行われるF1 と言う課程、これは2ヶ月間で、将来の下士官候補生。ですから勤務成績良好であったり、問題を起こさないものが進みます。 次に 入隊して3年経っても伍長仮定の話が出ないような場合はF2と呼ばれる1ヶ月間速成の課程に送られます。速成といっても2ヶ月でやる内容全て1ヶ月間でやるわけですから基本的にほとんど眠れません。
次に、海外の駐屯地で行われる伍長課程。ギヤナなどでやるわけですけど、何故か異常に厳しくて2ヶ月間の期間中ずっと眠れません。
こういう課程をやって一息ついて外人部隊になれた4年ごろが分かれ目になります。
大体この時期、中隊長から「外人部隊をこのまま続けるかどうか?」の打診があります。 ここで戦闘職のものと専門職の者とでは中隊長は扱いが少々異なります。 専門職とは、整備士、コンピューターの専門職、衛生兵、通信士などといった育成に金と時間がかかるような職についていてなおかつその職に熟練し始めたような4年勤務の伍長にはしつこく「契約の継続」を迫ってきます。
ところが戦闘職の場合は、常に若い子を入れ替えたいという気持ちもあるので、兵隊の勤務成績しだいによっては「契約の継続」を迫ったりすることはなく、4年過ぎても中隊長に「契約継続」の面談がない場合はそのまま5年任期を待って除隊となります。
「契約継続」を迫られる際、中隊長は「下士官にしてやる」「海外の連隊に駐在させてやる」と甘い言葉を取引材料として出してきます。これは専門職を引き止めないと中隊長自身の勤務評定にかかってくるからです。
それでも「私は除隊しますと」断固とした決意で除隊を決めるか、そのまま中隊長に流れてしまうかは本人しだいです。
では、除隊することになったとしましょう。
私の忠告では、4年過ぎて除隊を決意したら、日本に帰国するかフランスに残るか、それか別の国に行くかの決断をその際すべきです。日本に帰国する場合、別の国に行く場合については又別に書きましょう。
フランスに残ってどこかで働きたいという場合に限って今回は話をします。
4年経って除隊すると決断し、フランスに残ると決めたらその時点でどこに住むかおおよそ決めておかねばなりません。これはあくまでも私の忠告助言であって決まりではないですから誤解なきように。
アパートを借りないと除隊した後に住む場所がないという最悪の事態になりかねませんから、除隊を決断したらすぐに探し始めたほうが良いでしょう。なぜかといえば、アパートを借りる際は失業者だと貸してくんないんですよ。ですから除隊して仕事がないとなると誰もアパートを貸してくれません。ですからまだ在隊中の内にアパートを決めておくのが賢明です。
長くなりそうなので次回に続きます。
Posted by legion84
at 02:05
│生活